次の世代のために…

ルピナスさんについて

アメリカの児童文学作家バーバラ・クーニーの作品に「ルピナスさんー小さなおばあさんのお話ー」という絵本があります。

ルピナスさんは、アリスと呼ばれていた子どものころ、おじいさんのおひざでとおいくにぐにのおはなしをしてもらうと、いつもいっていました。「大きくなったらとおいくににいく。そしておばあさんになったら、海のそばの町に住むことにする」おじいさんはいいます。「それはけっこうだがね、アリス、もうひとつしなくてはならないことがあるぞ」「なんなの?」「世の中をもっとうつくしくするために何かしてもらいたいのだよ」

 アリスは大きくなって遠い国に行き自分の夢を叶えました。が、まだしなければならないことがありました。背中を痛め、海のそばで暮らすことにしたのをきっかけに、村のあちこちにルピナスの種をまいて歩きます。次の年の春には村じゅうにルピナスの花が咲き、みんなからルピナスさんと呼ばれるようになったミスアリスは、今では年をとって髪の毛は真っ白。でも、ルピナスの花はまだふえ続けています。ルピナスさんはいいます。姪のアリスにも。「世の中をもっとうつくしくするためになにかしなくては」「いいわ」

 ルピナスさんは、おじいさんとした大切な約束をしっかりと果たし、次の世代にも受け渡したようです。

幸せの種まき

当ルームカウンセラーも、自然、音楽、絵画、芸術などなど、美しいものに触れるのがエネルギーの源となっております。まだおばあさんというにはもう少しの時間がありますが、そんなルピナスさんにあやかり、この部屋をとおしておひとりおひとりの幸せと未来の可能性への種まきをしてゆきたいと思っております。

丁寧に描かれた絵をじっくり味わえる絵本です。絵が語る作家です。おじいさんと過ごしたアリスの子ども時代、その部屋にかけられていた2枚の絵が、年を重ねたルピナスさんの部屋に飾られているのもすてきです。

絵本や児童文学は、子どものためだけのものではありません。貴女の声とぬくもりでほっこりと、お子さまとの時間と空間を共にしてみること、それもすてきですし、よろしければご自身のためにも、子どもの本を手に取ってみられてはいかがでしょうか。極上のよろこびをあたえてくれることでしょう。

 

ー知ることは

 感じることの半分も重要ではないのです- レイチェルカーソン 

気づいたら、大好きな絵本から、ことばと感情をつなぐことを教わっていました